あけましておめでとうございます。

新年初の講習生のBLOGです!!今年もよろしくお願いします。

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(センターの正月飾り)

私達は、昨年末から冬休みに入り、新年は今月10日から講習がはじまりました。休み中は、実家でのんびり過ごしたり、就職先で研修させていただいたり、みなそれぞれ充実した冬休みを過ごし、全員揃って新しい年のスタートが切れました。

さて、私達22期生11人の修了後の就職先ですが、入構した時点で既に就職が決まった講習生も若干おりましたが、それ以外の者は、競走馬、乗馬や生産地関係の装蹄所、牧場などから求人票を見て、自分の進みたい進路(競走馬・乗馬・生産地etc)や条件が合うところを探したり、知人のつてを頼ったりして就活を行いました。また、外部実習先で声をかけてもらうこともありました。

おかげさまで11名全員無事に就職先が決まりました。

JRA職員装蹄師 1名

中央競馬開業装蹄所 2名

地方競馬開業装蹄所 2名

乗馬関係装蹄所 4名

生産地・牧場関係 2名

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就職先も決まり、後期試験に向けてますます気合いが入ります!!11名全員で無事に2級認定装蹄師となれるよう、さらに頑張っていきたいと思います。

このタイトルを見て、東京、それも都心部で講習生が実習できるような場所があるのだろうか?どのような馬に装蹄をしているのだろうか?と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。毎年4月から始まる認定装蹄師の認定講習会では、12月、翌年1月と2月の3回、約1週間の日程で世田谷区にあるJRA馬事公苑で集中実習をさせていただいております。

 ご存じの方も多いと思いますが、馬事公苑は、太平洋戦争のために中止となった1940年に開催予定だった東京オリンピックに向けて、日本の馬術選手の技術強化のために建設された施設で、戦後は1964年に開催された東京オリンピックの馬術競技の会場にもなっています。現在は、全日本クラスの馬術大会も行われていますが、一般の方も散策できる公苑としても人気が高く、馬関連のイベントでは馬車や乗馬の試乗会も行われています。

 さて、このような馬事公苑ですが、2020年に開催されるTOKYOオリンピックでは馬術競技の会場となるため全面改修されることから、私達22期生は、時期をずらし11月と12月の2回だけ、このTOKYOの都心で集中実習をさせていただくことになりました。

 今回のブログでは、11月23日~26日までの初回の馬事公苑実習について紹介します。

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 実習内容は、2月に行われる装蹄の実技試験の内容に準拠して「75分で同側前後各1蹄の装蹄」をメインとして行いました。当初は、何人かタイムオーバーする者もいましたが、実習も終盤に入る頃には、ギリギリではありますが、全員、時間内に終了することができるようになりました。ただし、私達の装蹄技術では馬をそのまま厩舎に戻せる状態ではないので、先生方の手直しが必要となりました。これからは時間内に作業を終了させることだけではなく、技術的にも精度を上げることにも気を配り、余裕を持って試験に臨めるようにしたいものです。

緊張状態となる試験に向けた実習の合間に、ポニーの削蹄もさせて頂きました。ポニーと言ってもファラベラのすごく小さい馬で、通常の装蹄とは違い、しゃがんで太ももの上に蹄を乗せて削蹄します。このサイズのポニーを削蹄するのは初めてで、普段とは違う体勢で道具を使うため、手の動かし方や力の入れ加減など上手くいかず苦労しましたが、普段できない貴重な体験ができました。

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私達が講習を受けている装蹄教育センターでは、JRA競走馬総合研究所所属の馬をお借りして装蹄実習や飼養管理実習(乗馬実習)を行っています。そこで、今回は、私達の教育に全身全霊で協力していただいている馬達を紹介したいと思います。

・セーラケントオー

アラブ系の競馬が施行されていた最後の年に生まれた馬だそうです。そのため、競走馬としてデビューせずに最初から乗馬として使用されており、教育センター開設当初から在厩している最古参の馬です。おとなしい馬ですが、すこし我慢することが苦手で、特に、最近は腰が弱ってきているため、後肢の保定がポイントとなります。また、高蹄でやや狭窄しているので、私達講習生にとっては釘傷しやすいため、先生たちの間では「日本で最も多くの釘傷を経験した馬」とも呼ばれています。

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・ニシノビート

ほかの馬より神経質で、些細なことにもビックリしてしまいます。朝の飼養管理実習では、馬房から出して洗い場に行くまでにも、ビックリさせてしまうことがあるので気を付けています。その他はとても素直で、装蹄や乗馬も大人しくしています。時折、装蹄に時間がかかりすぎると飽きてしまうので、もう少し手際良く作業できる様に頑張りたいと思います。

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・ミヤコノアドミラル

おっちょこちょいで、さびしがり屋、ほっておけない可愛さがある馬です。教育センター職員の山内先生が、乗馬でよく乗っている馬でもあります。厩舎内で後肢の蹄鉄がずれ易いので側鉄唇を設けてあります。馬名のアドミラルは英語で"提督"の意味だそうですが、普段はミヤコと呼ばれています。

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・ライアンダイヤ

メジロライアンの産駒で、業界でいうところの「馬っ気の強い」性格の馬です。そのため、近くに別の馬がいると向かっていくので、気をつけて扱っています。毎朝、後肢が立腫れしているので、裏掘りする時ちょっと辛そうにあげるのがかわいそうです。馬体が大きいので、装蹄で保定する時は少し重いので大変です。

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・トウカイハッスル

時々、神経質な一面を見せますが、とても愛らしくかわいい馬です。競走馬からの転用ですが、とても利口で引手がなくてもひき馬が出来る馬です。(実際に講習生がノーリードで引くことはありませんが。。。。笑)

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・シークレットパスト

ニュージーランド生まれで、昔は競馬学校の騎手候補生の乗馬として活躍していた馬です。現在の在厩馬の中で一番おとなしいので、オープンキャンパスや全国大会などイベントの際に活躍しています。

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現在、この6頭の馬達の協力を得ながら装蹄実習や乗馬実習などを行っています。これからも、人馬ともに怪我をせず、彼らの協力を無駄にすることなく残り少ない講習期間を過ごしていきたいと思います。

◆全国装蹄競技大会

年に一度、その年の装蹄技術の日本一を決める「全国装蹄競技大会」が10月17日18日の2日間にわたって、ここ宇都宮の装蹄教育センターで開催されました。

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69回目となる今回は、各地の予選競技会を勝ち抜いた32名の装蹄師が選手として出場し、日頃から鍛え上げた技と知識を発揮するべく競い合いました。私達講習生は、この大会の開催の会場設営や当日の装蹄馬の引き馬など競技補助として参加し、競技を行っている姿を間近で見ることができました。選手の皆さんは、競技以外では和気あいあいとお互いに楽しそうに話していましたが、競技が始まると一瞬で集中し、周囲のお客さんからの視線にも何ら動じることなく作業を行っていました。

初日のお昼には、決勝である装蹄競技に出場する選手が発表される時間を利用して、私達講習生も15分間で05タイプ蹄鉄1個の造鉄を披露させていただきました。多くの皆様の前で作業するのは初めてなのでとても緊張しましたが、皆精一杯頑張りました。今回の経験で、多くの人の前でも高いクオリティーで競技をする選手の方々の凄さを改めて体感し、将来は自分もこの舞台に立って日本一を目指したいと思いました。

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◆海外装蹄師のクリニック

例年、全国装蹄競技大会の開催に合わせて、欧米の装蹄競技大会で上位に入賞しているトップクラスの装蹄師を招き、海外の装蹄や造鉄の実演や実技指導(クリニック)が行われています。今回招聘されたジャスティン・フライ装蹄師は米国のミネソタ州出身で、全国装蹄競技大会では、両日ともに特殊蹄鉄の造鉄を実演していただきました。その翌日には、すでに現場で働いている装蹄師を対象に装蹄と特殊蹄鉄の実演と実技指導も行いました。その後の2日間は、私達講習生に、欧米の標準蹄鉄であるジャーニーマン蹄鉄の造鉄法について実技指導をしていただきました。もちろん、これだけでなく、講習生各自の技術を見て、火鉗の持ち方や手鎚の振り方、造鉄工具の修理方法についても教えていただきました。そして、教えていただいた欧米式標準蹄鉄を課題として、2回ほどプチ競技会が行われ、その上位入賞者にはフライ装蹄師ハンドメイドの賞品をいただきました。また、フライ装蹄師が滞在した約1週間は、私達が生活している八汐寮に宿泊していたので、造鉄や装蹄技術だけではなく、アメリカの馬文化やワークスタイルの違いなど、とても興味深いお話も聞くことができました。

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色々とお世話になったお礼を兼ねて、教育センターを出発する前夜には、講習生主催のBBQ Partyを開催し、未熟ながらも英語で自己紹介をしたり、侍の甲冑を着てもらったりと親睦を深めました。

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短い時間でしたが、とても楽しく、大変有意義で貴重な時間を過ごすことができました。また、海外の技術にも目を向けて広い視野で装蹄の仕事をできるようになりたいとも感じた1週間でした。

ありがとうございました。Thank you Justin !!

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7月下旬の北海道研修が終わると約3週間の夏休みになります。普段は、講習会が生活の中心になるので、殆どの時間を宇都宮で過ごすことになりますが、長期間にわたり講習が休みになるので、就職活動をする人、親方の所で働く人、短い夏に悔いを残さずエンジョイする人など、各自、宇都宮離れてそれぞれの夏休みを満喫しました。

夏休みが終わって久しぶりに会う講習生同士は、自然と会話も盛り上がりましたが、私達には夏休みの余韻を楽しんでいる暇はなかったのです....。実は、9月5日に前期に終了した科目についての認定試験が待ちうけていたのでした。

私達が装蹄師の2級認定試験に合格するためには、12科目の学科試験と2科目の実技試験を受けて、それぞれ基準となる合格点に達していなくてはなりません。前期試験では、12科目の学科のうち8月までに終了した5科目の試験が行われ、残りの7科目の学科試験と実技試験は2月中旬の後期試験で行われます。一つひとつの科目が大切となるので、1日の講習が終わり寮に戻るとお互いにノートを見せ合ったり、教え合ったりと試験の傾向と対策は、深夜まで続きました。夏休み中にもっと勉強しとけばよかった...と後悔する中、前期試験の日まで机に向かいました。

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※授業間の休憩も勉強しました!

ついに来た前期試験日!独特な緊張感の中で試験は粛々と進んで行きます。勉強の成果を出すつもりだったのですが、結果は全然思い通りにいきませんでした。中には「意外と出来たぜ!」と言っている人もいたのですが、これは反対に心配になります。終わってしまったことは元には戻らないので、後期試験で取り戻せるように頑張るだけです!

講習会前半の大きな山場だった前期試験も終わり一段落した?ので、講習生全員で「お疲れさん会」を開きました。美味しいものを沢山食べ、カラオケで歌い、前期試験のストレスを発散してみんなで楽しみました。

あっという間に講習期間の半分が終わり、残すところ5か月となってしまいました。就職先も決まり始め、自分自身の将来性が見えてきた中、目的意識を持ちながら残りの講習会期間を過ごそうと思います。まずは、次の大きなイベントである10月の全国装蹄競技大会に向けて気持ちを切り替えて向かっていきます。全国大会では競技運営の手伝いだけでなく講習生による造鉄を皆様に見ていただくことになっています。05タイプ蹄鉄1個を15分で造鉄する予定ですが、今は時間内に終わらせることで精一杯ですが、全国大会までにはすこしでもいい製品になるように練習を積み重ねています。

研修6日目(午後):牧場での削蹄実習(社台ファームさん

6日目の午後は、社台ファームで繁殖牝馬などの削蹄実習をさせていただきました。講師は、今年の春に教育センターを修了され、社台ファームに勤務している先輩装蹄師2名です。スピーディーに作業をしながら、的確に指導をしていただきましたが、装蹄師として現場で働くようになって1年もしないのに、ここまでのことができるようになれるというのは驚きでした。教育センターでの講習期間中にも先輩方に会う機会はありますが、1年目の先輩からこのような形で指導していただけたので、明確な目標が見えてきた気がします。

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研修7日目:牧場での見学研修(社台ファームさん

北海道研修最終日も社台ファームでお世話になりました。

午前は、特殊蹄鉄を用いた装蹄処置法の見学です。計測した蹄に合わせて、連尾蹄鉄を造鉄し、罹患馬の蹄に装着していました。現在、教育センターの実習では、造鉄は蹄鉄を作製するトレーニングとして行っており、装蹄には自分たちが造鉄した蹄鉄ではなく機械性蹄鉄を装着するので、今回の特殊蹄鉄の装蹄処置法はとても新鮮で、刺激的でした。将来は自分で造鉄した蹄鉄を用いて装蹄するオーダーメイド式装蹄ができる装蹄師になれたらと夢が膨らみました。

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午後は、"獣医師から見た肢軸異常について"との内容で講義をしていただきました。幼駒の肢軸異常が適切な装蹄療法によって徐々に回復するというものでしたが、ここでも一番大切だと感じたことは、飼養管理者・装蹄師・獣医の三者の連携がとても大事であるという事です。装蹄師は薬やレントゲンなどを扱うことはできませんが、獣医師も特殊な装削蹄をすることは難しいと思います。また、日常的に馬に接する管理者の観察や手入れのおかげで些細な異常を早期に発見できます。現場にたって仕事をする際には、関係者と密接にコミュニケーションも取って、馬に対しての情報の共有がしっかりとれるようにしようと感じました。

この北海道研修を通して、装蹄に関わる技術と知識だけではなく、日本の馬産業で大きな役割を担っている生産地における、馬が生まれ、育っていく状況、さらにそこに携わる多くの人たちの思いについても知ることができました。装蹄に関することはもちろんですが、ホースマンとして大切な部分も少しは身に付けることができた気がします。

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シンザン像にて

今回お世話になりました皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。

ありがとうございました。

今回お世話になった方々〈訪問順・敬称略〉

・帯広競馬場

・高橋装蹄所(ばんえい)

・千葉装蹄所(ばんえい)

・北海道日高装蹄師会のみなさん

・JRA日高育成牧場

・BTC軽種馬育成調教センター

・谷口牧場

・中神牧場

・ヒダカファーム

・NOSAI日高家畜診療センター

・日本軽種馬協会 静内種馬場

・(株)ノースヒルズ

・静内フジカワ牧場

・日高軽種馬農協 静内支所 北海道市場

・社台スタリオンステーション

・ノーザンファーム

・社台ファーム