2015年8月アーカイブ

北海道研修PART3

北海道研修5日目は、日本軽種馬協会の静内種馬場、社台ファーム、ノーザンファームの見学研修です。

静内種馬場では、まず施設と種牝馬を見学させていただきました。施設はとても大きく綺麗に管理されており、安全に種付けができるように、立会いの職員の他に、別室でも監視ができるようなモニターが備え付けられていることにとても驚きました。また、ここに常駐している田中弘佑装蹄師から、生産地での肢蹄管理と肢軸矯正について、多くの症例の写真を示しながら詳しく説明していただきました。生産地では、幼駒の肢の矯正をすることが主眼となりますが、幼駒の蹄が薄く柔軟なため、接着材やウレタンでできた蹄鉄などを用いる必要があるとのことでした。また、さまざま特殊蹄鉄(ハートバーや厚尾蹄鉄)の効果についても教えていただきました。自分も、特殊蹄鉄の種類などについて勉強し、ゆくゆくは特殊蹄鉄を応用できるような装蹄師になりたいと思いました。

JBBA.jpg
















次に、社台ファームを見学させていただきました。社台ファームでは、古川装蹄師と伊澤装蹄師から、蹄葉炎に対する接着装蹄の実演を見せていただきながら、接着装蹄のメリットとデメリットに加え、実際に接着するときのポイントや注意点についても説明を聞くことができました。社台ファーム.jpg
















この日の最後の見学場所となったノーザンファームでは、とても広大な敷地に立派な厩舎や調教施設の見学をしました。数ある施設の中で自分が一番驚いたのは坂路が近代的だったことです。天井部にカメラをつけて馬場の状況や調教中の馬の様子などもみることができるようになっていました。いろんな工夫がされていて驚きました。そして講義をしてくださった牧場長の菅谷先生は、装蹄師と獣医師が協力しあうことがとても大切だと強く言っておられました。菅谷先生.jpg
















 北海道研修の最終日となる6日目は、朝一番でノースヒルズ牧場に行きました。ここでは、今年生まれた子馬から2歳馬まで30頭近い馬を出していただき、成長に伴って子馬の体型がどのように変化していくのかを詳細に説明していただきました。そして、ここの装削蹄を担当している北海道日高装蹄師会の武田英二会長からは、肢軸や歩様の見方、肢軸の矯正処置の方法について、実際にきれいな状態に戻った肢を示しながら説明していただきました。宇都宮での講習では、テキストの写真でしか見ることができない、子馬の成長過程やそれぞれの時期の歩き、肢軸矯正の効果を実際にみることができた貴重な体験でした。ノースヒルズ.jpg
















北海道研修最後の場所は、社台スタリオンステーションです。ここには、競馬ファンでなくとも、誰もが一度は耳にしたことがある有名なG1馬の多くが、種牡馬として繋養されています。残念ながら写真はありませんが。。。
スタッフの方から、その一頭一頭を厩舎から出して、歩様を見せていただきながら、馬体の特徴やレースの時の走り方についても説明していただきました。テレビや雑誌でしか見ることができないG1馬達を目の前で実際にみることができて興奮しました。

 今回の北海道研修では、ばんえい競馬や軽種馬の生産地ならではの多くのことを実際に見ることができて、装蹄師という馬に係わる仕事をするうえでとてもいい経験となりました。また、繁殖牝馬や子馬の削蹄実習も体験することができて、普段の装蹄実習の大切さが改めて実感でみました。

 最後になりますが、私達の1週間にわたる北海道研修のために、様々な援助をいただきました皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。ここで学んだことを、今後の講習や修了後の装蹄師としての仕事に生かしていきたいと思います。ありがとうございました。

北海道研修3日目は、6名ずつ2斑に分かれて、ヒダカファームさんと谷口牧場さんで、繁殖牝馬と1歳馬の削蹄実習をさせていただきました。いままでセンターの実習で装削蹄させていただいた馬とは違い、馬が楽な肢勢で立てるような位置や高さで肢を保定しないと嫌がって降ろそうとします。特に、1歳馬は、まだ骨格がしっかりしていないので、馬のバランスが崩れやすいので保定することが大変でした。また、蹄の状態が良いため、削蹄で肢蹄の状態を悪くしないことに注意を払って実習に臨みました。繁殖牝馬は、妊娠するとお腹が重くなるので、保定した時も肢がとても重たく、また、後肢の動きは、速く力も強いと思いました。指導していただいた北海道日高装蹄師会の先生からは、蹄鑢を斜めに当てる癖があるため、蹄負面の内側と外側の高さが違う点に気をつけるようにとのアドバイスを受けました。

開業装蹄師さんからの実技指導

センターでもよく言われることですが「馬が楽な保定は、人間にとっては辛い位置。でも保定をすることが出来れば安定した作業ができ、作業時間の短縮にもつながる」というお話を現地の先生からもお聞きして、改めて保定の重要性を実感しました。
















4日目

日高三石家畜診療センターを見学させていただきました。この診療所では、年間約1000頭もの馬を診察し、その中でも外傷、消化器系や呼吸器系の病気が多いそうです。

三石家畜診療センター
















次に、軽種馬のセリが行われる日高軽種馬農業協同組合・JBBA北海道市場を見学しました。広大な敷地の中に、セリに上場される馬を繋養する厩舎、下見するための屋内馬場や馬道など充実した施設が整備され、庭木や芝などもすみずみまで手入れがされていて、毎年高価格での取引が行われる場所にふさわしく雰囲気でした。また、ここの施設を見学する中で、セリ当日の空気も感じることができました。

北海道市場
















午後は、3班に分かれて、新和牧場、ハントバレートレーニングファーム、小国スティーブルに行き、日高装蹄師会の開業装蹄師さんの日常業務を見学させていただきました。馬の肢勢や蹄の状態、歩きを確認し、それぞれの状況を考慮しながら方針を立てて装蹄をするのですが、まだ、入講して半年も経っていない私達講習生には理解できない所がありました。そして、実際の装蹄作業は、とてもスピーディで無駄がないため、馬も嫌がることがなく、すぐに終了していました。作業を行う前に的確な方針を立て、その目標に向かって無駄なく作業することの大切さを学びました。

牧場での実習
















装蹄見学が終わった後、私達の班は、ポニーの削蹄をさせていただきました。保定のしかたはもちろんのこと、蹄を切るにも小さいためいつもと同じ鎌形蹄刀を使いこなすのが大変でした。

初日 ~本州から北海道へ~

7月21日、この日から始まる北海道研修のため、講習生12人と引率の先生2名は羽田空港に集合しました。10時30分発の飛行機に乗り、帯広空港に13時15分に着きました。

北の大地.JPG















一年の講習の中でもBIGイベントである北海道研修となるため、講習生はドキドキでいっぱいでした。生まれて間もない馬たちや繁殖としての母馬、有名な種牡馬。さまざまな馬達に会い、また現地の開業装蹄師さんのお話や実際の仕事を見ることが出来ると思うととても興奮しました。

でかい!!輓馬の迫力!!

最初は、ばんえい競馬が行われている帯広競馬場にバスで移動しました。ばんえい競馬とは鉄のソリを馬に引かせ、1つ100kgのブロックをソリに積んでいき、最高重量は1tにもなります。なのでソリを引く馬のサイズは大型で馬体重も1t近くあります。馬といえば競走馬やセンターの馬のイメージしか無かった自分は圧倒されました。北斗の拳でラオウが乗っている「黒王号」とはこの馬たちなのか。。。。と思うようなサイズ感。どうしたらこんな馬達を飼いならし扱えるのだろうと思いました。

輓馬の枠場.JPG















装蹄を行う際には、単独保定と呼ばれる馬の脚を自分の足で固定する姿勢も、ばん馬では出来ないので、木の枠場に馬の脚をロープで括り付けて作業していました。このように作業の仕方や使う道具も、僕達が普段、実習で行なう装蹄と違う点がたくさんありました。ここでしか見ることの出来ない貴重な経験でした。

なにより一番の衝撃だったのは、ディスクグラインダーを使っての削蹄です。

蹄の大きさ・硬さ・作業効率など様々な面から、この方法が一番良いそうです。

残念ながら、この日はレースは行われていなかったのですが、いつかこの馬達のダイナミックなレースを見るため、またこの場所に来たいと思いながら帯広競馬場を後にしました。

この日はバスでJRA日高育成牧場のすずらん寮まで移動し、宿泊しました。

第2日目 ~7月22日 母馬・1歳馬に触れる~

日高育成牧場.JPG















JRA日高育成牧場にて、繁殖牝馬、1歳馬の削蹄実習をさせて頂きました。厩舎のスタッフの方に引き手を持ってもらいながら行ったのですが、事前に聞いていた通り身体が柔軟でよく脚を動かしてくるので、とても難しく感じました。そんな時に実習講師のJRAの職員装蹄師の方達の助言は、普段の実習で僕達が言われている事と通ずるものがあり、もっと気を引き締めて実習に臨もうと改めて考えさせられるとともに、新たに教わった技術や知識もこれからの実習に活かしていきたいと思いました。さらに蹄葉炎に罹った繁殖牝馬の装蹄療法も見学させて頂きました。センターでの装蹄は基本装蹄が中心なのでとても興味深いものがありました。様々な方法を探りながら、的確で迅速な対応をされていました。脚も以前に比べ回復していたそうで、早く自分も技術を身につけたいと思いました。今までまるで知らなかった事を見聞し、今まで培ってきた知識を見つめ直す、そんな研修になりました。

育成牧場集合写真.JPG