2015年10月アーカイブ

10月19日、晴天の下、第68回全国装蹄競技大会が行われました。私たち講習生は、大会をお手伝いする裏方として参加しました。私は、選手が競技の残り時間を確認するタイマーを管理する仕事を任されました。

全国大会開会式





午前中は、装蹄判断競技と単独造鉄競技が同時進行します。選手は4つのグループに分かれ、順次これら2つの競技に臨みます。

装蹄判断競技では、実馬の歩様や馬体を見て、肢勢・蹄形・歩様・先着部位・疾病を判断し、その結果から多削部位や装蹄方針を決定・記載する競技です。制限時間25分のなかで、たくさんの項目を確認する必要があるので、選手は、見て、触った状況を「瞬時に判断」し、用紙に記載していました。

単独造鉄競技は、規定時間25分で、横径と縦径が指示された標準蹄鉄07タイプ(欧米の標準蹄鉄であるジャーニーマン蹄鉄)の前後肢各1個を作製する競技です。素早く正確な手鎚を動かし、コンパスや定規も使って、できるだけ完成度の高い製品に仕上げるようにしていました。さらに、火炉の使い方もとてもうまく、2個の蹄鉄を同時に造鉄しますが、交互に加熱した鉄桿を火炉から出した時には、適度な焼き具合になっていました。

競技中の選手

私達も、一瞬で装蹄方針がイメージし、それに合わせて、必要な個数の蹄鉄を同時に造鉄できるような装蹄師になりたいと思いました。

午前の部が終了し、午後からの装蹄競技が始まる間、時間をいただき、私達の造鉄を見て頂きました。内容は15分で前肢用05タイプ1固を造鉄するというものです。普段の実習中とは異なり、多くの参観者が見ている前で造鉄するのは初めての経験だったので、緊張で筋肉がこわばり、手鎚が思うように動きません。出来上がった作品もとてもバランスが悪く、酷いものでした。このような緊張感の中で、普段通りに作業できる選手の皆様の技術と精神力に、改めて感動しました。






午後は、午前中の単独造鉄で上位16名が出場する装蹄競技です。自分が担当する肢蹄を観察して、その蹄に合わせて05タイプ蹄鉄2個を20分で造鉄します。蹄鉄審査を受けた後、45分間で担当する同側前・後肢2本の蹄を装蹄します。除鉄、削蹄、修整・適合、銀線、釘付け、仕上げの一連の作業行程で、選手それぞれでペース配分が違い、見ていて勉強になりました。また、選手の皆さんは、さまざまな工夫をしながら、45分間で綺麗に装蹄を仕上がるように工夫をしていました。その妥協のない姿が凄いと思いました。

講習生造鉄













今回の全国大会を見学して、私も2級装蹄師の資格が取得できたら何年後かには全国大会に選手として出場してみたいと思いました。

毎年10月には、装蹄技術の日本一を決める「全国装蹄競技大会」が開催されます。第68回目となる今年の大会は10月19日(月)と20日(火)に開催され、日本各地から地方の予選会を勝ち抜いた32人の装蹄師が選手として、宇都宮の装蹄教育センターに集まりました。私達も、全国屈指のレベルの装蹄技術を間近で見られることを楽しみにしていましたが、そのためには、ベストな状態で競技ができるように、会場となる教育センターの整備を行いました。

競技開催日の2日前から、装蹄工場や2階のギャラリー、建物内外を丹念に清掃し、選手のミーティングルームの準備や来賓用のテントの設置、ランチエリアへの机や椅子のセッティングなどを行いました。また、全国大会では、私達も参観者の皆様の前で、造鉄を披露することになっているので、当日、すぐに道具を取り出せるようにセットしました。

セッティングされた検査場
















大会前日は、競技用の鉄桿や蹄釘を揃え、案内用の看板も設置し、また、競技エリアもロープで囲みました。このロープの張り方は、競技毎に違うので、その打合せもしっかりと行いました。また、JRA馬事公苑から来ている8頭の競技用馬のために、馬房の用意をしました。そして、これらの馬達が、歩様検査や装蹄の時に驚かないように、センターの歩様検査所や装蹄工場を見せたり、何度も引き馬をしながら歩かせました。

全国大会看板
















そして、午後3時には、殆どの選手や関係者が集まり、事前の合同ミーティングが開かれ、私達も、このミーティングに参加して、競技大会の流れを改めて確認しました。

準備は大変でしたが、この競技大会のために、腕を磨いてきたトップレベルの選手達の競技を間近で拝見出来るという期待と私達の造鉄が無事に終わのだろうか、という不安を残しつつ終了しました。

ミーティングの様子

















私たちは入講して以来、教育センターに加え、NAR教養センターなど外部施設に繋養されている馬をお借りして、毎月2回程度は実馬の装蹄実習を行っています。入講当初は、当然、装蹄の全行程を行うことなどできませんでした。「除鉄」から始まり、「釘付け」と「仕上げ」、そして「削蹄」へと徐々にステップアップしてきましたが、作業が遅いことに加えてやり直しをすることも何度もあり、随分と厩舎の方にご迷惑をおかけしました。しかし、実習を重ねる度に、作業効率も上がり、できる事も増えてきました。そして、9月を過ぎた頃からは、装蹄作業の全行程を行わせていただけるようになりました。とはいえ....まだまだ自分の作業が終わると、先生の手直しが必要となります。

修正の壁.jpg




























(修正の壁と戦う、Tくん)

このような状況の私達ですが、2月中旬に行われる2級認定装蹄師認定試験の装蹄実技試験では、前肢・後肢各1蹄の装蹄を75分で完了させなくてはいけません。現時点で、この時間内で装蹄を終了できた講習生は、殆どいません。その原因は、現在の私達の技術では、越えることが難しい高い壁があるからです。その壁というのが、蹄の形に蹄鉄を合わせる「修整」作業なのです。装蹄実習の度に、蹄鉄を自分の思い通りの形状に動かすことがこんなにも難しいことなのか、と再認識させられています。この状況を打破するために、技術的な疑問を先生方に質問したり、講習生同士でそれぞれがポイントにしていることを話し合ったりして、少しでも早く、蹄鉄の「修整」を習得できるように日々トライしています。今は、何をやっても未熟でヒヨコのような私たちですが、今後、何十年と経験を積むことで、装蹄技術が向上するとともに、難しいと感じる部分が変わってくることと思います。そのためにも、まず始めに、目の前に高くそびえ立つ「修整」の壁を乗り越え、2級認定装蹄師の実技試験に合格できるように頑張ります!!