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2月に入り、宇都宮も寒い日が続き、ときどき雪も降ってきます。このような中、2月10日から3日間にわたり装蹄師認定試験の後期試験が行われ、我々11名全員が認定装蹄師となるために、超えなければならない最後の難関に挑みました!!例年は、初日には前期試験で行わなかった6科目の学科試験、2日目に実馬の装蹄判断試験と実技試験(装蹄と造鉄)となっていますが、今回は、装蹄実技試験をNAR教養センターで行うことになったので3日間となりました。日程にそってご紹介します!!

第1日目

写真はありませんが、装蹄教育センターの研修室にて筆記試験が行われ、午前に3科目、午後に3科目の合計6科目を受験しました。講習生全員、まずまずの手ごたえはあったようです。ただ、結果は・・・・・。

第2日目

 実馬の装蹄判断試験と造鉄実技試験が行われました。

装蹄判断試験は、馬の立ち方や歩きを観察して、その馬に対する装蹄方針を表現する試験です。馬の歩きのポイントを見極めたり、肢蹄にある異常や疾病などを見つける観察力とそれらに対する装蹄方法を導く理論的な考察力が必要になります。約1年間にわたり、装蹄教育センターで専門的な教育を受けたといっても、私達の観察力と考察力も未熟なため、とても難しい試験だったと感じました。

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造鉄試験は、45分間で新標準蹄鉄15タイプと呼ばれる蹄鉄を、前・後肢用各1個を作るというものです。日常的に造鉄練習をしていた鉄床と火炉を使用しての試験でしたが、やはり試験ともなると緊張して普段より鎚が重く感じたり、動きが固まってしまったりして思うような製品が作れなかった人もいました。

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第3日目

地方競馬那須教養センターの装蹄所と繋養馬をお借りして、75分で、同側前後肢各1蹄の装蹄を行う装蹄実技試験です。講習生11名を4班に分けて、朝8時15分から午前に2班、午後に2班が装蹄実技試験を受けました。近年、実習での装蹄頭数が減少傾向にあるので、その分を原寸大の蹄が書かれた用紙に合わせた修整練習などで補っていたため、不安をかかえた講習生もいましたが、全員無事に時間内に装蹄を終了することができました。

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あとは結果発表を待つのみです。

無事に全員合格できることを祈っております!!

◆全国装蹄競技大会

年に一度、その年の装蹄技術の日本一を決める「全国装蹄競技大会」が10月17日18日の2日間にわたって、ここ宇都宮の装蹄教育センターで開催されました。

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69回目となる今回は、各地の予選競技会を勝ち抜いた32名の装蹄師が選手として出場し、日頃から鍛え上げた技と知識を発揮するべく競い合いました。私達講習生は、この大会の開催の会場設営や当日の装蹄馬の引き馬など競技補助として参加し、競技を行っている姿を間近で見ることができました。選手の皆さんは、競技以外では和気あいあいとお互いに楽しそうに話していましたが、競技が始まると一瞬で集中し、周囲のお客さんからの視線にも何ら動じることなく作業を行っていました。

初日のお昼には、決勝である装蹄競技に出場する選手が発表される時間を利用して、私達講習生も15分間で05タイプ蹄鉄1個の造鉄を披露させていただきました。多くの皆様の前で作業するのは初めてなのでとても緊張しましたが、皆精一杯頑張りました。今回の経験で、多くの人の前でも高いクオリティーで競技をする選手の方々の凄さを改めて体感し、将来は自分もこの舞台に立って日本一を目指したいと思いました。

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◆海外装蹄師のクリニック

例年、全国装蹄競技大会の開催に合わせて、欧米の装蹄競技大会で上位に入賞しているトップクラスの装蹄師を招き、海外の装蹄や造鉄の実演や実技指導(クリニック)が行われています。今回招聘されたジャスティン・フライ装蹄師は米国のミネソタ州出身で、全国装蹄競技大会では、両日ともに特殊蹄鉄の造鉄を実演していただきました。その翌日には、すでに現場で働いている装蹄師を対象に装蹄と特殊蹄鉄の実演と実技指導も行いました。その後の2日間は、私達講習生に、欧米の標準蹄鉄であるジャーニーマン蹄鉄の造鉄法について実技指導をしていただきました。もちろん、これだけでなく、講習生各自の技術を見て、火鉗の持ち方や手鎚の振り方、造鉄工具の修理方法についても教えていただきました。そして、教えていただいた欧米式標準蹄鉄を課題として、2回ほどプチ競技会が行われ、その上位入賞者にはフライ装蹄師ハンドメイドの賞品をいただきました。また、フライ装蹄師が滞在した約1週間は、私達が生活している八汐寮に宿泊していたので、造鉄や装蹄技術だけではなく、アメリカの馬文化やワークスタイルの違いなど、とても興味深いお話も聞くことができました。

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色々とお世話になったお礼を兼ねて、教育センターを出発する前夜には、講習生主催のBBQ Partyを開催し、未熟ながらも英語で自己紹介をしたり、侍の甲冑を着てもらったりと親睦を深めました。

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短い時間でしたが、とても楽しく、大変有意義で貴重な時間を過ごすことができました。また、海外の技術にも目を向けて広い視野で装蹄の仕事をできるようになりたいとも感じた1週間でした。

ありがとうございました。Thank you Justin !!

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7月下旬の北海道研修が終わると約3週間の夏休みになります。普段は、講習会が生活の中心になるので、殆どの時間を宇都宮で過ごすことになりますが、長期間にわたり講習が休みになるので、就職活動をする人、親方の所で働く人、短い夏に悔いを残さずエンジョイする人など、各自、宇都宮離れてそれぞれの夏休みを満喫しました。

夏休みが終わって久しぶりに会う講習生同士は、自然と会話も盛り上がりましたが、私達には夏休みの余韻を楽しんでいる暇はなかったのです....。実は、9月5日に前期に終了した科目についての認定試験が待ちうけていたのでした。

私達が装蹄師の2級認定試験に合格するためには、12科目の学科試験と2科目の実技試験を受けて、それぞれ基準となる合格点に達していなくてはなりません。前期試験では、12科目の学科のうち8月までに終了した5科目の試験が行われ、残りの7科目の学科試験と実技試験は2月中旬の後期試験で行われます。一つひとつの科目が大切となるので、1日の講習が終わり寮に戻るとお互いにノートを見せ合ったり、教え合ったりと試験の傾向と対策は、深夜まで続きました。夏休み中にもっと勉強しとけばよかった...と後悔する中、前期試験の日まで机に向かいました。

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※授業間の休憩も勉強しました!

ついに来た前期試験日!独特な緊張感の中で試験は粛々と進んで行きます。勉強の成果を出すつもりだったのですが、結果は全然思い通りにいきませんでした。中には「意外と出来たぜ!」と言っている人もいたのですが、これは反対に心配になります。終わってしまったことは元には戻らないので、後期試験で取り戻せるように頑張るだけです!

講習会前半の大きな山場だった前期試験も終わり一段落した?ので、講習生全員で「お疲れさん会」を開きました。美味しいものを沢山食べ、カラオケで歌い、前期試験のストレスを発散してみんなで楽しみました。

あっという間に講習期間の半分が終わり、残すところ5か月となってしまいました。就職先も決まり始め、自分自身の将来性が見えてきた中、目的意識を持ちながら残りの講習会期間を過ごそうと思います。まずは、次の大きなイベントである10月の全国装蹄競技大会に向けて気持ちを切り替えて向かっていきます。全国大会では競技運営の手伝いだけでなく講習生による造鉄を皆様に見ていただくことになっています。05タイプ蹄鉄1個を15分で造鉄する予定ですが、今は時間内に終わらせることで精一杯ですが、全国大会までにはすこしでもいい製品になるように練習を積み重ねています。

日頃私たちが講義や実技を受けている教育センターには、どんな先生がいるのでしょうか? という事で、今回は、教育センターで私たちを指導して頂いてる先生方を紹介させて頂きます。

岩村センター所長

第47回の全国装蹄競技大会で優勝されている指導級認定装蹄師です。講義では装蹄判断を担当してもらっていて、ユーモアを交えた話は、とてもおもしろい講義です。また、実習でも技術指導をしていただいています。特に、私たちが壊した造鉄工具を一つ一つ修理していただいています。

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森先生

装蹄教育センターで唯一の獣医師の先生です。講義では、解剖学と生理学を担当して頂いております。馬の骨格や筋肉、蹄などの仕組みや機能などを細かく教えて頂いております。寮生活や日常の問題などについても親身になって支えて頂いております。

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竹田先生(写真は昨年の全国大会)

第54回の全国装蹄競技大会優勝&第9回アジア装蹄競技大会優勝の指導級認定装蹄師です。講義では、基本装蹄法を担当していただいてます。また、実習は、竹田先生がメインとなって教えていただいてます。講義・実習ともに、優しく、また時には厳しく指導していただいております。装蹄についての疑問や悩みなどの相談に乗ってくれるので、いつも楽しい授業です。

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富山先生

装蹄教育センターを修了した認定装蹄師で、私たちの先輩にあたる先生です。講義では、馬の運動を教えて頂いております。運動中の馬の動きを理論的に説明してくれるので、装蹄に加えて乗馬にも活かすことができます。装蹄の実習も担当してくださり、かっこいい富山先生は私たちの憧れの存在です。

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八木沢先生

富山先生と同じで、装蹄教育センターを修了した装蹄師で、私たちの先輩にあたります。講義は、鍛治基礎と馬に関する一般教養を教えて頂いております。また、講義の関連で、鍛冶や装蹄の実習も担当して頂いています。身体が大きく一見怖そうですが、23歳と私たちと近い年齢のため、様々な相談にものってもらっています。八木沢.JPG













山内先生

総務として、私たちの日常生活や外部実習の際に、様々な面からサポートして頂いています。また、実習の際の写真や動画などの撮影もして頂いております。ここ教育センターの所在地である旧JRA競走馬総合研究所、されにそれ以前の旧・宇都宮育成牧場時代に少年団の一員として乗馬をはじめ、その後、現在に至るまで、かなり長い乗馬のキャリア(年齢がわかりませんので30年位でしょうか?)をもたれているので、乗馬実習では、色々とアドバイスをして頂いております。

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日本で唯一の装蹄師の学校とも言える装蹄教育センターでは、強面の先生がビシビシ指導しているというイメージを持たれていると思います。しかし、実際は、初心者の私たちに、わかりやすく丁寧に、優しく時には厳しく指導してくれます。実際の馬や高温になる材料も使うため、危険が伴う場面もあるので、気を引き締めて集中して取り組んでいます。

センターに入講して約3か月がたちました。修了する来年の3月まで、まだまだ長い期間がありますが、ご指導よろしくお願いします。

以前のブログで、4月の後半に行った「プチ競技会」について報告しましたが、あれから約1か月が経った5月末日に第2回目のプチ競技会が開催されました!第1回目の種目は、古い蹄鉄を角棒にする「鉄桿鍛錬」とその角棒を材料とした「裏堀作り」でした。5月に入ってから、私たちの実習は、鉄桿鍛錬から蹄鉄をつくる「造鉄」という段階にステップアップしたので、これに合わせて競技内容も「造鉄」ということになりました。(このBLOGでも「初めての造鉄」についてご紹介できれば良かったのですが・・・残念です。)

ここで、基本的な蹄鉄について少し説明します。皆さんは、蹄鉄と聞くとU字型の形状をイメージすると思いますが、実は前肢用と後肢用で微妙に形が違います!前肢用は全体的に丸い円形をしており、後肢は先端が少しとがったような楕円形をしています。その理由は、前肢は体重負担の割合が大きく、特に、運動中に進行方向を変える際、軸となって体を支えるのに適した円形をしているそうです。また、後肢はエンジン!で、その推進力を逃さないように、蹄の先端が地面に食い込みやすいように、先端がとがった楕円形になっているのとのことです。

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さて、第2回目のプチ競技会では、60分間で前肢用蹄鉄1個を完成させるというものです。60分というとかなり長く感じるでしょうが、2人で1基の火炉と鉄床を使って交互に作業するし、私たちのレベルでは、何度も鉄桿を加熱するので、やっとのことで製品を完成させました。

審査は、全国大会などの競技会で使われる採点表を用いて、細かな項目に分けて点数がつけられました。今回のチャンピョンは、YKくんでした!彼は、自分にはセンスがないと、日頃から悩み、この1か月真剣に実習に取り組んでいたので、今回はその成果が出たようです。賞品は、竹田先生オリジナルのシルバーアクセサリーで、今回の課題蹄鉄を同じ形のものです。こんなに小さいんです!穴の一つ一つまで、ミニチュアの道具で作られています。賞品のシルバーアクセサリー.jpg



















修了試験では、45分で前後肢各1個の蹄鉄を造鉄しなくてはいけないので、1日1日・1本1本を大事に造鉄しなくてはいけないなと思いました。

5月13日、日本装削蹄協会の佐藤 浩二会長に特別講義をしていただきました。佐藤会長は、獣医師としてJRAで勤務されており、現在は、日本装削蹄協会とジャパン・スタットブック・インターナショナルの会長を兼任されています。長いキャリアの中で、特に、海外の競馬サークルと関わる仕事が多かったので、今回は、「海外の競馬事情からみた日本の競馬」という内容で教えていただきました。

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まず、我が国の近代競馬の歴史について、その始まりから現在に至るまでの様々な出来事を詳しく説明していただきました。現在では、日本馬が海外のレースに出走し、上位入線することもしばしばありますが、昔は、海外遠征することが難しく、たとえ海外のレースに出走していい結果は残せなかったとのことです。このような日本の近代競馬の歴史を知ると、競馬開催国の格付けをする国際セリ名簿基準委員会から、日本が競馬先進国を意味する「パートI国」に入ることを認められたことは、多くの関係者の努力が実り、本当に凄い成長をしたと感じました。そして、私達22期生も装蹄教育センターを修了した後は、このグローバル化している馬の世界に入ることになるということも実感できました。

ここでのこの一年間、装蹄師としても世界を意識した仕事ができるように、気持ちも新たに頑張りたいと思います。