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このタイトルを見て、東京、それも都心部で講習生が実習できるような場所があるのだろうか?どのような馬に装蹄をしているのだろうか?と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。毎年4月から始まる認定装蹄師の認定講習会では、12月、翌年1月と2月の3回、約1週間の日程で世田谷区にあるJRA馬事公苑で集中実習をさせていただいております。

 ご存じの方も多いと思いますが、馬事公苑は、太平洋戦争のために中止となった1940年に開催予定だった東京オリンピックに向けて、日本の馬術選手の技術強化のために建設された施設で、戦後は1964年に開催された東京オリンピックの馬術競技の会場にもなっています。現在は、全日本クラスの馬術大会も行われていますが、一般の方も散策できる公苑としても人気が高く、馬関連のイベントでは馬車や乗馬の試乗会も行われています。

 さて、このような馬事公苑ですが、2020年に開催されるTOKYOオリンピックでは馬術競技の会場となるため全面改修されることから、私達22期生は、時期をずらし11月と12月の2回だけ、このTOKYOの都心で集中実習をさせていただくことになりました。

 今回のブログでは、11月23日~26日までの初回の馬事公苑実習について紹介します。

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 実習内容は、2月に行われる装蹄の実技試験の内容に準拠して「75分で同側前後各1蹄の装蹄」をメインとして行いました。当初は、何人かタイムオーバーする者もいましたが、実習も終盤に入る頃には、ギリギリではありますが、全員、時間内に終了することができるようになりました。ただし、私達の装蹄技術では馬をそのまま厩舎に戻せる状態ではないので、先生方の手直しが必要となりました。これからは時間内に作業を終了させることだけではなく、技術的にも精度を上げることにも気を配り、余裕を持って試験に臨めるようにしたいものです。

緊張状態となる試験に向けた実習の合間に、ポニーの削蹄もさせて頂きました。ポニーと言ってもファラベラのすごく小さい馬で、通常の装蹄とは違い、しゃがんで太ももの上に蹄を乗せて削蹄します。このサイズのポニーを削蹄するのは初めてで、普段とは違う体勢で道具を使うため、手の動かし方や力の入れ加減など上手くいかず苦労しましたが、普段できない貴重な体験ができました。

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7月下旬の北海道研修が終わると約3週間の夏休みになります。普段は、講習会が生活の中心になるので、殆どの時間を宇都宮で過ごすことになりますが、長期間にわたり講習が休みになるので、就職活動をする人、親方の所で働く人、短い夏に悔いを残さずエンジョイする人など、各自、宇都宮離れてそれぞれの夏休みを満喫しました。

夏休みが終わって久しぶりに会う講習生同士は、自然と会話も盛り上がりましたが、私達には夏休みの余韻を楽しんでいる暇はなかったのです....。実は、9月5日に前期に終了した科目についての認定試験が待ちうけていたのでした。

私達が装蹄師の2級認定試験に合格するためには、12科目の学科試験と2科目の実技試験を受けて、それぞれ基準となる合格点に達していなくてはなりません。前期試験では、12科目の学科のうち8月までに終了した5科目の試験が行われ、残りの7科目の学科試験と実技試験は2月中旬の後期試験で行われます。一つひとつの科目が大切となるので、1日の講習が終わり寮に戻るとお互いにノートを見せ合ったり、教え合ったりと試験の傾向と対策は、深夜まで続きました。夏休み中にもっと勉強しとけばよかった...と後悔する中、前期試験の日まで机に向かいました。

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※授業間の休憩も勉強しました!

ついに来た前期試験日!独特な緊張感の中で試験は粛々と進んで行きます。勉強の成果を出すつもりだったのですが、結果は全然思い通りにいきませんでした。中には「意外と出来たぜ!」と言っている人もいたのですが、これは反対に心配になります。終わってしまったことは元には戻らないので、後期試験で取り戻せるように頑張るだけです!

講習会前半の大きな山場だった前期試験も終わり一段落した?ので、講習生全員で「お疲れさん会」を開きました。美味しいものを沢山食べ、カラオケで歌い、前期試験のストレスを発散してみんなで楽しみました。

あっという間に講習期間の半分が終わり、残すところ5か月となってしまいました。就職先も決まり始め、自分自身の将来性が見えてきた中、目的意識を持ちながら残りの講習会期間を過ごそうと思います。まずは、次の大きなイベントである10月の全国装蹄競技大会に向けて気持ちを切り替えて向かっていきます。全国大会では競技運営の手伝いだけでなく講習生による造鉄を皆様に見ていただくことになっています。05タイプ蹄鉄1個を15分で造鉄する予定ですが、今は時間内に終わらせることで精一杯ですが、全国大会までにはすこしでもいい製品になるように練習を積み重ねています。

7月4日に、大井競馬場に行き、地方競馬の開催業務やそこで働いている装蹄師さんの仕事を見学させていただきました。

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 大井競馬場は、別名Tokyo City競馬と言われるように東京都心の品川区にあり、とてもおしゃれな感じがする競馬場です。研修の前半は、競馬の開催に関連する装鞍所、馬場、スタンドや誘導馬厩舎などを見学させていただきました。昨年の11月にオープンした新スタンドG-FRONTでは、出走馬がゴールする迫力ある瞬間を目の前で見られるように設計されており、競馬ファンが楽しめるような充実した環境を目指しているそうです。また、誘導馬厩舎では、馬車を曳くクライズデールというとてもおおきな重種やきれいな葦毛の馬などが繋養されていました。特に、クライズデールの馬体の大きさは、普段、軽種馬を見ている私達にはとても驚きでした。

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見学の後半は、大井競馬場で働いている装蹄師さんの仕事の流れを見せていただきました。装蹄工場は多くの開業装蹄師さんが共同で使用しており、それぞれ使用する蹄鉄や装蹄道具などを置いていました。また、レースのことや装蹄処置の方法などについても、お互いに楽しそうに話していました。実際の装蹄は、担当している馬が繋養されている厩舎に装蹄工具や蹄鉄を持って移動して、そこで作業を行っていました。美浦TC見学研修でも開業装蹄師さんの仕事を見せていただきましたが、その違いも感じながら勉強することができました。厩舎の中での装蹄.jpg

今回の研修の最後は、競走馬の装蹄師として現役最高齢である須崎先生の鍛冶技術を見学することができました。造鉄では、2回の加熱で1個の蹄鉄を作る技術を見せていただきました。現在、私達が教育センターで行っている鉄桿造鉄では、加熱しては叩き、加熱しては叩き、という作業を何度も繰り返していますが、なかなかバランスのいい蹄鉄を作ることができません。須崎先生は、たった2回の加熱できれいな蹄鉄を完成させる技を見て、ベテランの洗練された無駄のない技術を知ると同時に自分たちが目指ものを改めて感じました。また、須崎先生は、さまざまな装蹄工具や刃物造りもされており、今回は鎌型蹄刀の制作手順を見せていただきました。刃物を作る際は、材料の色で加熱した温度を見極めなければなりませんが、私達には、その色の違いを理解することできませんでした。将来は、私達も須崎先生のように、高い技術を持った装蹄師を目指したいと思いました。

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講習期間は残り7ヶ月と時間が経つのが早いですが、できる限りのことを精一杯やり個々の目標に向かって頑張ります。

6月2日と3日の2日間、タイトルの通り、現役競走馬のLIFEスタイルや装蹄、公正競馬のための日常管理などを理解するため、茨城県にある日本中央競馬会(JRA)美浦トレーニングセンター(以下美浦トレセン)に見学に行きました。この美浦トレセンは、JRAに出走する現役競走馬が、レースに備えて日々トレーニングをする競走馬の前線基地とも言える場所です。

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美浦トレセン到着後、まず、開業されている認定装蹄師さんの仕事を見学させて頂きました。装蹄作業は全く無駄がなくスピーディーで、お弟子さんとも息のあった連携でした。敏感な競走馬に対して、装蹄のストレスを感じさせないことも大事であることを学びました。その後、競馬の公正確保のために、このトレセンで行われている様々なシステムに関する講義を受けました。数分間のレースで大きなお金が動く世界ということもあるので、そのセキュリティの厳しさや馬の薬物に対する規制が多いことにも納得しました。













2日目は朝から調教の様子を見学させていただきました。大勢の人馬が一斉にトレーニングするので、事故が起こらないように施設の管理やルールが徹底されていました。調教見学の後は、各種の馬場やプールなど、様々な調教用施設に連れて行っていただき説明を受けました。競走馬のトレーニングや健康管理のために、あらゆる視点から様々な施設が完備されていることを知ることができました。

施設見学の次は、会議室をお借りして、JRAの職員装蹄師である藤田先生から、トレセンを中心とした装蹄師の仕事内容やJRAで認可されている競走用蹄鉄に関する規定についての講義を受けました。競走用の蹄鉄は、厚みや重さ・接地面の突起物の長さなど、厳しい制限があり、承認を受ける必要があるとのことです。承認を受けた蹄鉄以外で、特別な装蹄療法などの目的で使用される蹄鉄は、事前にJRAから承認を得る必要があるそうです。

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最後は、トレセン内の競走馬診療所を見学させて頂き、馬用の手術台や様々な器具を見て、日々進歩している馬の獣医療の技術に驚きました。手術台.JPG
















普段立ち入ることのできない美浦トレセンのバックヤードや競走馬の生活を知り、装蹄師の卵として、今後の講習会におけるモチベーションを大いに高めることができました。この装蹄師認定講習会を修了した後の進路については、まだ悩んでいる講習生もいますが、今回の見学で刺激を受けたとともに現場の仕事の一端を知ることができてとても参考になりました。この見学研修を通して、現場で必要とされている装蹄師についても、その一端を感じることができました。ここで学んできたことを、糧にまた明日から実習、講義共に頑張っていきます。
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5月23日、24日の2日間、茨城県笠間市にある東京大学付属牧場で、繋養されているクリオージュという小型の馬の削蹄実習をしてきました。広い放牧地に集団で放たれているので、のびのびと草を食んでいたり、数頭が連れ立って歩いていたりと、とても和やかな情景の中で飼育されいました。しかし、削蹄は、"はんぱない"状況となりました。放牧が中心で、人が騎乗したり挙肢したりという経験が殆どなく、さらに跣蹄(蹄鉄を装着していない蹄)であるため、私たちにとっては「野生馬」の削蹄をしているようなものでした。講習記録_7837_0.jpg

















削蹄実習は、放牧地の中で行いました。牧場職員の方に馬の前で頭絡を持っていただきましたが、これまでの実習馬と違って、小ぶりなうえ、挙肢することに慣れてないので、保定の位置が少しでも高くなると、馬がバランスを取れずに肢を抜いたり、立ち上がったりして、削蹄工具を使う前段階で苦戦しました。また、跣蹄で削蹄間隔が長い状態だったので、過長や弱踵蹄、さらに裂蹄や蹄壁欠損など蹄のコンディションは厳しいものがありました。苦戦しながらも、適切な位置で保定ができると馬も静かにしてくれるので、保定の重要性を痛感しました。また、今回の実習では、鎌だけでなく削蹄剪鉗もたくさん使うことができたので、とても有意義でした。

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道具もうまく扱えず、鎌も切れ味が悪いなど、まだまだ1つ1つが不完全ですが、次回の東大牧場の削蹄実習では、成長した姿を見ていただけるよう頑張りたいと思います。

牧場職員の皆様、暑い中ありがとうございました。また次回も、よろしくお願いいたします。

5月に入り、私たちが生活している宇都宮もさわやかな季節となりました。装蹄教育センターでの実習や学科講義も順調で、少しずつ馬の扱いにも慣れ、装削蹄や造鉄の手順も少しずつ覚えてきたところで、地方競馬(NAR)教養センターで装蹄の外部実習が始まりました。このBLOGでもたびたび登場するNAR教養センターは、宇都宮から北に約50㎞離れた那須塩原にある地方競馬の騎手の養成などの施設で、現在、約80頭の馬が繋養されています。

 私たち22期生も2班に分かれて、5月から来年1月まで、各班、毎月1回装蹄実習でお世話になります。今回は、1泊2日で行うNAR実習のスケジュールについて簡単に紹介したいと思います。

NAR装蹄所

第1日目

8時30分:出発

10時30分:NAR教養センター到着後、宿泊施設である那須寮で着替えて、装蹄工場で準備と造鉄練習。

12時:昼食

13時:装蹄実習一人前後肢各1蹄。

17時:お風呂(天然温泉でとても気持ち良いです!!)・夕食・自由時間







第2日目

9時:造鉄(特に鉄唇あげ)練習

12時: 昼 食

13時: 装蹄実習(2人で1頭)

15時:実習終了。NAR教養センター出発。

16時30分: 宇都宮駅到着後解散。

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今回は、NARでの初めての実習でしたが、基本はセンターでの装蹄と同じです。馬の扱いや保定が不安定だったり、鎌型蹄刀がうまく研げていなかったりと、各自の問題は依然と残っています。これらの課題を、次回のNAR実習までには少しは改善できるように頑張りたいとおもいます!