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装蹄教育センターで行う装蹄師認定講習会の教育の目玉の一として、カリキュラムの中に年間40時間以上の乗馬実習が含まれています。この乗馬実習は、単に馬に乗るテクニックを身につけるためではなく、装蹄と深く関わる"馬の動きと馬体に加わる様々な力を体感する"ことが目的です。そのため、まず、運動学などの講義で馬の動きを十分に勉強してから、乗馬実習を受けました。脚の運びの違いによる常歩(walk)、速歩(trot)、駈歩(canter)、歩襲(gallop)とそれぞれの歩法による馬の背骨の動きや重心の位置の違いを教わり、それを理解すべく4月後半から月2回程度、7月中旬まで乗馬をさせていただきます。

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実習では経験者は部班運動(複数頭での運動)で駈歩までを、また、未経験者は最初に動きだしと停止の合図を出すことと調馬索を使っての速歩までの運動を行っています。未経験者は、初めは馬の上でバランスをとるのが精一杯で、馬の動きを考える余裕はありませんでしたが、1回毎の実習で、少しずつ馬の動きを体で感じられるようになり、バランスがとれるようになってきました。自分も上手くは乗れないのですが、JRA競走馬総合研究所から来ていただいているベテランの指導者から的確なアドバイスをしてもらえるので、大変勉強になっています。

この乗馬実習は、講義で習った馬の動きについて身をもって理解することができるので、馬にとってのベストな装蹄を考えるとともに、騎乗者の立場からも装蹄をイメージできる大切な機会だと思います!

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残りの乗馬実習では、少しでも深く馬の動きを理解するとともに、乗馬テクニックも上げることができるように頑張りたいと思います!

以前のブログで、4月の後半に行った「プチ競技会」について報告しましたが、あれから約1か月が経った5月末日に第2回目のプチ競技会が開催されました!第1回目の種目は、古い蹄鉄を角棒にする「鉄桿鍛錬」とその角棒を材料とした「裏堀作り」でした。5月に入ってから、私たちの実習は、鉄桿鍛錬から蹄鉄をつくる「造鉄」という段階にステップアップしたので、これに合わせて競技内容も「造鉄」ということになりました。(このBLOGでも「初めての造鉄」についてご紹介できれば良かったのですが・・・残念です。)

ここで、基本的な蹄鉄について少し説明します。皆さんは、蹄鉄と聞くとU字型の形状をイメージすると思いますが、実は前肢用と後肢用で微妙に形が違います!前肢用は全体的に丸い円形をしており、後肢は先端が少しとがったような楕円形をしています。その理由は、前肢は体重負担の割合が大きく、特に、運動中に進行方向を変える際、軸となって体を支えるのに適した円形をしているそうです。また、後肢はエンジン!で、その推進力を逃さないように、蹄の先端が地面に食い込みやすいように、先端がとがった楕円形になっているのとのことです。

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さて、第2回目のプチ競技会では、60分間で前肢用蹄鉄1個を完成させるというものです。60分というとかなり長く感じるでしょうが、2人で1基の火炉と鉄床を使って交互に作業するし、私たちのレベルでは、何度も鉄桿を加熱するので、やっとのことで製品を完成させました。

審査は、全国大会などの競技会で使われる採点表を用いて、細かな項目に分けて点数がつけられました。今回のチャンピョンは、YKくんでした!彼は、自分にはセンスがないと、日頃から悩み、この1か月真剣に実習に取り組んでいたので、今回はその成果が出たようです。賞品は、竹田先生オリジナルのシルバーアクセサリーで、今回の課題蹄鉄を同じ形のものです。こんなに小さいんです!穴の一つ一つまで、ミニチュアの道具で作られています。賞品のシルバーアクセサリー.jpg



















修了試験では、45分で前後肢各1個の蹄鉄を造鉄しなくてはいけないので、1日1日・1本1本を大事に造鉄しなくてはいけないなと思いました。

新品の鎌形蹄刀.jpg入講してから2週間が経ち、本格的に学科講義や実習も始まりました。専門的な内容なので新鮮である反面、戸惑うことも少なくありません。特に、実習では、初めて使う装蹄・造鉄の工具がとても特殊で、名前や使用手順を覚えたり、手入れをしたりするのが大変です。その中でも、日常の装蹄作業の中で最も使用頻度が高く、調整が大変なのが「鎌型蹄刀」だと思います。業界では「鎌」と呼ばれることが多く、世界でもこの道具を使って蹄を切るのは日本を含めたアジアの数か国だけだとのことです。




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蹄を削るための刃物が切れないと、装蹄師としての仕事は始まりません。そこで、初めて実際の馬の装蹄実習を行う前に、鎌研ぎを教わりました。左手で鎌を固定し、右手に握った砥石で研いでいきます。一見簡単そうですが、左手は鎌が動かないように完全に固定し、右手は砥石が平らな面として、鎌の刃に当たるようにしなくてはなりません。この鎌研ぎの作業がとても難しく、私たちが研ぐと、砥石がまっすぐ鎌の刃に当たらないので、刃の部分が丸くなってしまいます。装蹄する前に、超えなければいけない大きな壁ができてきたように感じました。

私たちは入講して以来、教育センターに加え、NAR教養センターなど外部施設に繋養されている馬をお借りして、毎月2回程度は実馬の装蹄実習を行っています。入講当初は、当然、装蹄の全行程を行うことなどできませんでした。「除鉄」から始まり、「釘付け」と「仕上げ」、そして「削蹄」へと徐々にステップアップしてきましたが、作業が遅いことに加えてやり直しをすることも何度もあり、随分と厩舎の方にご迷惑をおかけしました。しかし、実習を重ねる度に、作業効率も上がり、できる事も増えてきました。そして、9月を過ぎた頃からは、装蹄作業の全行程を行わせていただけるようになりました。とはいえ....まだまだ自分の作業が終わると、先生の手直しが必要となります。

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(修正の壁と戦う、Tくん)

このような状況の私達ですが、2月中旬に行われる2級認定装蹄師認定試験の装蹄実技試験では、前肢・後肢各1蹄の装蹄を75分で完了させなくてはいけません。現時点で、この時間内で装蹄を終了できた講習生は、殆どいません。その原因は、現在の私達の技術では、越えることが難しい高い壁があるからです。その壁というのが、蹄の形に蹄鉄を合わせる「修整」作業なのです。装蹄実習の度に、蹄鉄を自分の思い通りの形状に動かすことがこんなにも難しいことなのか、と再認識させられています。この状況を打破するために、技術的な疑問を先生方に質問したり、講習生同士でそれぞれがポイントにしていることを話し合ったりして、少しでも早く、蹄鉄の「修整」を習得できるように日々トライしています。今は、何をやっても未熟でヒヨコのような私たちですが、今後、何十年と経験を積むことで、装蹄技術が向上するとともに、難しいと感じる部分が変わってくることと思います。そのためにも、まず始めに、目の前に高くそびえ立つ「修整」の壁を乗り越え、2級認定装蹄師の実技試験に合格できるように頑張ります!!

みなさんこんにちは。

入講から一週間が経過し、少しずつセンターでの講習や寮生活にも慣れてきました。それに合わせて、講習内容も徐々に本格的になってきたので、装蹄師に向かって一歩ずつ歩き始めていることを実感しています。今回は、とても緊張した初めての講義と実習について紹介させていただきたいと思います。


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初講義の科目は、八木沢先生による馬に関わる一般教養でした。講義では、全国の認定装蹄師の人数、馬の総飼養頭数や牧場・乗馬クラブの数、日本における馬のライフステージなど、馬業界についての内容と、歴史が好きな八木沢先生ならではの日本における装蹄の歴史についても説明していただきました。初めて耳にした業界の様子や装蹄の変遷は、とても興味深く、これから装蹄師として馬業界の一員を目指す私達には参考になりました。

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 初実習は、竹田先生による鉄桿鍛錬でした。全てが初めていうことで、まずは、火炉(ほど)に火をおこす方法を習うところから始まりました。火炉の火力が安定したところで、古鉄(馬が履いていた蹄鉄)を焼き、鉄床の上に置いて手鎚で叩いて、約1cm角の真っ直ぐな鉄の棒を作製するという基本的な内容でした。

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こう書くと、とても簡単なことをしているようにイメージするかもしれませんが、加熱しすぎて鉄が溶けてしまったり、パワー不足で手鎚が真っ直ぐに振れず奇怪な形の棒が出来上がったり、柔らかい掌にマメができて、それが潰れたりと、初実習の結果は散々でした。

 初授業・初実習では今後の講習に不安が残りましたが、1年後装蹄師として現場に立てるよう努力していきたいと思います。

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今回は、K.T(19)がお送りしました。



認定試験(後期)を受験

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 長いようで短かった1年間の講習会も大詰めとなり、 最後の難関となる後期の認定試験を迎えました。後期の筆記試験は6科目ですが、9月に受験した5科目の前期試験と合わせて評価されることになります。実技 試験は一発勝負で、前肢・後肢2蹄の装蹄と前後肢用蹄鉄2個を造鉄します。

 試験の前日は、殆どの講習生が学科試験の追い込みをしていたので、寮内の個室の電気は深夜まで消えることはありませんでした。また、私の実技試験の対策ですが、最後の馬事公苑実習から戻ってから、造鉄や装蹄の器具の調整を時間のある限りしました。

 実際の試験の結果ですが、噂では学科試験でギリギリ合格の講習生もいたようですが、学科・実技ともに無事に全員が合格できました。ほっとしています。

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修了前の実習

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 試験が終わって、気持ちを緩めたいところですが、修 了式前日に関係者の皆様に見て頂く「修了報告会」に向けた練習が残っています。報告会では競技形式で、前肢用・後肢用各1個のジャーニーマン蹄鉄と蹄を 30秒だけ見てそれに合うように連尾蹄鉄を造るイーグルアイ競技の2種目を行います。練習では、ジャーニーマン蹄鉄は、私達が通常作製している蹄鉄と微妙 に形状が違うので、バランスを調整し、きれいに仕上げるのが難しいと感じました。また、イーグルアイは、本物の蹄の形状に合わせるのも難しいのですが、さ らに連尾部分の長さや鍛着の状況で、最初の鉄桿の長さを変えなければならないので、悪戦苦闘の連続でした。

 修了間際の最後の削蹄実習では、削蹄のスピードも上がり、先生から仕上げを修正されることもほとんどありませんでした。入講当初は、馬の肢をはさんでいるのがやっとだったのに、先生方の厳しくも優しい指導のおかげで上達することができ、感謝しています。






アメリカの装蹄競技大会を初体験

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 20期生の中の私を含めた3名が、約10日間の米国 研修に参加させていただき、アメリカ装蹄師会(AFA)のコンベンションとそこで開催された競技会を直に見学することができました。AFAの競技では、 ジャーニーマン蹄鉄、連尾蹄鉄などの様々な特殊蹄鉄、向鎚手と2人ペアで行うドラフトホース用蹄鉄などを造鉄する種目に分かれていました。いずれの競技で も、見学者は※セーフティーグラスをかけていれば、選手の目の前で造鉄や装蹄を見学することができました。選手の方々が情熱をもって日々練習し、楽しんで 競技に参加している雰囲気が伝わり、「装蹄や造鉄は面白い!」と以前にも増して思うようになりました。

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 競技場ではアメリカの装蹄師をはじめ、アメリカ以外 からも多くの方が見学にこられていました。そして、多くの方々が私に声をかけてくれたことは、とても刺激になり嬉しいことでした。これも、日本装削蹄協会 の先生方や競技に出場してきた多くの選手の皆様が、長年かけて良い関係を築いてきてくださったからです。このような環境を整えてくださったことにとても感 謝しています。

クリスグレゴリーのお宅の前で.jpg  今回は、昨年の全国大会に来日して模範演技と指導をしてくださったクリス装蹄師のお宅に宿泊させていただき、彼の装蹄学校で米国装蹄競技大会に出場する4 名の日本人装蹄師とともに、私達3名の講習生にも造鉄練習をする場を提供していただきました。また、クリス装蹄師のみならず、彼の息子で各種競技大会にお いて優秀な成績を収めているコーディー装蹄師から、本場のジャーニーマン蹄鉄の造鉄を習ったり、コーディー装蹄師がAFA競技のための造鉄や装蹄の練習を するところを見学できたことは、素晴らしい体験でした。そして、クリス装蹄師のお宅に滞在中は、彼のご家族が、私達が楽しい時間を過ごせるように気を配っ てくださいました。特に初めてアメリカに行った私にとっては新鮮な体験の連続でした。クリス、彼の妻であるケリーとの出会いは、私にとって人生の転機にな りました。

今回、AFA競技に参加するために日本から渡米され た選手の方々も、時間を割いて競技や造鉄について教えてくださり、ありがとうございました。普段のお仕事についてのお話を聞くこともでき、とても勉強にな りました。私も選手の方々のような装蹄師になれるよう頑張っていきたいと思っています。 造鉄競技の見学、多くの人との出会いなど、米国研修はとても実りの多いものでした。米国研修に参加する機会を与えてくださったことにとても感謝しています。

※セーフティーグラス 鉄の酸化膜などから目を守るためのメガネ

埼玉県出身 I.M(19)と千葉県出身 A.S(24)がお送りしました !!