装蹄実習の最近の記事

私たちは入講して以来、教育センターに加え、NAR教養センターなど外部施設に繋養されている馬をお借りして、毎月2回程度は実馬の装蹄実習を行っています。入講当初は、当然、装蹄の全行程を行うことなどできませんでした。「除鉄」から始まり、「釘付け」と「仕上げ」、そして「削蹄」へと徐々にステップアップしてきましたが、作業が遅いことに加えてやり直しをすることも何度もあり、随分と厩舎の方にご迷惑をおかけしました。しかし、実習を重ねる度に、作業効率も上がり、できる事も増えてきました。そして、9月を過ぎた頃からは、装蹄作業の全行程を行わせていただけるようになりました。とはいえ....まだまだ自分の作業が終わると、先生の手直しが必要となります。

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(修正の壁と戦う、Tくん)

このような状況の私達ですが、2月中旬に行われる2級認定装蹄師認定試験の装蹄実技試験では、前肢・後肢各1蹄の装蹄を75分で完了させなくてはいけません。現時点で、この時間内で装蹄を終了できた講習生は、殆どいません。その原因は、現在の私達の技術では、越えることが難しい高い壁があるからです。その壁というのが、蹄の形に蹄鉄を合わせる「修整」作業なのです。装蹄実習の度に、蹄鉄を自分の思い通りの形状に動かすことがこんなにも難しいことなのか、と再認識させられています。この状況を打破するために、技術的な疑問を先生方に質問したり、講習生同士でそれぞれがポイントにしていることを話し合ったりして、少しでも早く、蹄鉄の「修整」を習得できるように日々トライしています。今は、何をやっても未熟でヒヨコのような私たちですが、今後、何十年と経験を積むことで、装蹄技術が向上するとともに、難しいと感じる部分が変わってくることと思います。そのためにも、まず始めに、目の前に高くそびえ立つ「修整」の壁を乗り越え、2級認定装蹄師の実技試験に合格できるように頑張ります!!

認定試験(後期)を受験

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 長いようで短かった1年間の講習会も大詰めとなり、 最後の難関となる後期の認定試験を迎えました。後期の筆記試験は6科目ですが、9月に受験した5科目の前期試験と合わせて評価されることになります。実技 試験は一発勝負で、前肢・後肢2蹄の装蹄と前後肢用蹄鉄2個を造鉄します。

 試験の前日は、殆どの講習生が学科試験の追い込みをしていたので、寮内の個室の電気は深夜まで消えることはありませんでした。また、私の実技試験の対策ですが、最後の馬事公苑実習から戻ってから、造鉄や装蹄の器具の調整を時間のある限りしました。

 実際の試験の結果ですが、噂では学科試験でギリギリ合格の講習生もいたようですが、学科・実技ともに無事に全員が合格できました。ほっとしています。

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修了前の実習

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 試験が終わって、気持ちを緩めたいところですが、修 了式前日に関係者の皆様に見て頂く「修了報告会」に向けた練習が残っています。報告会では競技形式で、前肢用・後肢用各1個のジャーニーマン蹄鉄と蹄を 30秒だけ見てそれに合うように連尾蹄鉄を造るイーグルアイ競技の2種目を行います。練習では、ジャーニーマン蹄鉄は、私達が通常作製している蹄鉄と微妙 に形状が違うので、バランスを調整し、きれいに仕上げるのが難しいと感じました。また、イーグルアイは、本物の蹄の形状に合わせるのも難しいのですが、さ らに連尾部分の長さや鍛着の状況で、最初の鉄桿の長さを変えなければならないので、悪戦苦闘の連続でした。

 修了間際の最後の削蹄実習では、削蹄のスピードも上がり、先生から仕上げを修正されることもほとんどありませんでした。入講当初は、馬の肢をはさんでいるのがやっとだったのに、先生方の厳しくも優しい指導のおかげで上達することができ、感謝しています。






アメリカの装蹄競技大会を初体験

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 20期生の中の私を含めた3名が、約10日間の米国 研修に参加させていただき、アメリカ装蹄師会(AFA)のコンベンションとそこで開催された競技会を直に見学することができました。AFAの競技では、 ジャーニーマン蹄鉄、連尾蹄鉄などの様々な特殊蹄鉄、向鎚手と2人ペアで行うドラフトホース用蹄鉄などを造鉄する種目に分かれていました。いずれの競技で も、見学者は※セーフティーグラスをかけていれば、選手の目の前で造鉄や装蹄を見学することができました。選手の方々が情熱をもって日々練習し、楽しんで 競技に参加している雰囲気が伝わり、「装蹄や造鉄は面白い!」と以前にも増して思うようになりました。

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 競技場ではアメリカの装蹄師をはじめ、アメリカ以外 からも多くの方が見学にこられていました。そして、多くの方々が私に声をかけてくれたことは、とても刺激になり嬉しいことでした。これも、日本装削蹄協会 の先生方や競技に出場してきた多くの選手の皆様が、長年かけて良い関係を築いてきてくださったからです。このような環境を整えてくださったことにとても感 謝しています。

クリスグレゴリーのお宅の前で.jpg  今回は、昨年の全国大会に来日して模範演技と指導をしてくださったクリス装蹄師のお宅に宿泊させていただき、彼の装蹄学校で米国装蹄競技大会に出場する4 名の日本人装蹄師とともに、私達3名の講習生にも造鉄練習をする場を提供していただきました。また、クリス装蹄師のみならず、彼の息子で各種競技大会にお いて優秀な成績を収めているコーディー装蹄師から、本場のジャーニーマン蹄鉄の造鉄を習ったり、コーディー装蹄師がAFA競技のための造鉄や装蹄の練習を するところを見学できたことは、素晴らしい体験でした。そして、クリス装蹄師のお宅に滞在中は、彼のご家族が、私達が楽しい時間を過ごせるように気を配っ てくださいました。特に初めてアメリカに行った私にとっては新鮮な体験の連続でした。クリス、彼の妻であるケリーとの出会いは、私にとって人生の転機にな りました。

今回、AFA競技に参加するために日本から渡米され た選手の方々も、時間を割いて競技や造鉄について教えてくださり、ありがとうございました。普段のお仕事についてのお話を聞くこともでき、とても勉強にな りました。私も選手の方々のような装蹄師になれるよう頑張っていきたいと思っています。 造鉄競技の見学、多くの人との出会いなど、米国研修はとても実りの多いものでした。米国研修に参加する機会を与えてくださったことにとても感謝しています。

※セーフティーグラス 鉄の酸化膜などから目を守るためのメガネ

埼玉県出身 I.M(19)と千葉県出身 A.S(24)がお送りしました !!

特殊蹄鉄の造鉄

 11月に入り、基本的な蹄鉄である標準蹄鉄(新標準蹄鉄05タイプ)の造鉄がほぼできるようになったところで、

ステップアップして3種類の特殊蹄鉄の造鉄にチャレンジすることになりました。

 「鉄臍蹄鉄(てっさいていてつ)」は、鉄尾を折り曲げて、接地面側に「鉄臍」という突起を設置した蹄鉄です。

今回造鉄した特殊蹄鉄の中で一番作りやすいものでしたが、この鉄臍の形状を規定の形状の台形に整えることや接蹄面を平らに仕上げることが大変でした。

鉄臍蹄鉄

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「厚尾蹄鉄」は鉄尾に向けて徐々に鉄枝の厚みが増すようにした蹄鉄です。

厚尾部分を作製する際に、鉄枝の中央部に凹みができてしまうので、

そこを調整するのが大変難しく、また、鉄臍蹄鉄同様に接蹄面を平らにするのも大変でした。

厚尾蹄鉄

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「連尾蹄鉄」は両方の鉄尾を鍛着させた蹄鉄で、

10月に来日したクリス先生から、鍛着の際のコツを教わっていたので、

鍛着はほぼ成功させることができました。ただ、鍛着後に、蹄鉄の形状を整えるのが難しく、みんな苦戦しながら造りました。

連尾蹄鉄

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今回造鉄した3種類の特殊蹄鉄は、肢蹄や歩様の異常の時に使用することのある蹄鉄です。

センターを修了して、現場で働くようになった時に、異常な馬の装蹄の際に手際よく造鉄できるように、

練習を積み重ね、マスターするように頑張ります。

競馬場の見学

 11月8日に東京競馬場、11月21日に大井競馬場の見学に行ってきました。

 東京競馬場では、出走馬の後について、装鞍所、パドック、馬場の順に見学し、その後は、レース後の出走馬の目の洗浄、

ドーピングのための検体採取の状況も見て、レースの仕組みが理解できました。そして、その中には、装蹄師も待機しており、

レース当日にも出走馬がベストな状態でレースに臨めるように働いていることも分かりました。

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(東京競馬場装鞍所にて)

大井競馬場では、競馬の非開催日の装蹄師の仕事や施設を見学させていただきました。

数名ずつのグループに分かれ、それぞれ開業装蹄師さんについて各厩舎に行き、装蹄作業を見学しました。

馬にストレスがかからないように、洗い場や馬房の中で迅速に作業を進めており、私達の装蹄がいかに遅く、

馬にストレスを与えているのかが分かりました。また、須崎先生の鎌型蹄刀の作製や単独造鉄も見学し、鍛冶技術の奥の深さを垣間見ることができました。

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大井競馬場の装蹄工場は、ここの開業装蹄師だけでなく、厩舎関係者の方も集まり、楽しそうに競馬や装蹄に係わる情報交換をしていました。

馬の関係者が集まる輪の中では、言葉で自分の仕事を説明することの重要性を実感しました。

両方の競馬場を見学させていただき、とても多くの関係者の支えや努力があって公正な競馬が開催されていることが分かりました。

私たち20期生の多くは、センターを修了後、競走馬に関係した装蹄師の下で働くことになりますが、

競馬の施行や競馬場での装蹄師の仕事についても知らないことが多かったので、とても実りの多い見学でした。

今回の見学でお世話になった東京競馬場ならびに

大井競馬場の関係者の皆様にお礼を申し上げます。

今回は、H.S.とN.S.の二人でお送りしました。