"蹄"と呼ばれるわけ
馬はアシの長さを増して歩幅を広げるため、つま先立ちで走っています。つま先立ちになると中指だけが接地し、負担が中指の先端のみに集中することから、指先の皮膚を角質化して保護するようになりました。「蹄(ひづめ)」という文字を用いる以前は、だから"皮爪"と書いていたのです。
ヒトのツメとの違い
イラストレーションヒトのツメも馬の蹄も本来は同じもの。ただし、馬ではヒトの指紋がある部分もツメの一部に変化して三角形の柔らかな蹄叉(ていさ)となっています。
生きている蹄
角質部分には神経と血管がありませんが、それでも蹄は生きています。蹄壁の角質は、上から下に向かって1ヶ月に8mmほど伸び続けています。伸びるにつれて蹄の角度は少しずつねてくるのが普通です。
装蹄の手順
イラストレーションまず履いている蹄鉄を外します。専用の刃物で伸びすぎた部分を切り取ります。削蹄した蹄に合わせて新しい蹄鉄を調整します。この時、蹄鉄の密着性を高めるため、熱した蹄鉄を蹄に押し当てることもあります。これを、焼き付けといいます。蹄鉄の調整が終わったら、装蹄専用の釘を用いて、蹄鉄を正しい位置に取り付けます。蹄壁に飛び出した釘の先端を切り取り、切断部分を折り曲げて固定します。最後にはみ出した蹄に軽くヤスリを掛けて完成です。